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8月, 2020の投稿を表示しています

今できるささやかな「地域支援」

生前贈与を活用した相続対策 ―2021年に期限を迎える生前贈与の特例ー

  平成 27 年に相続税の基礎控除額が引き下げられて以降、「普通の家庭でも相続税の対象になる」ことが広く語られていることも相まって、相続対策への関心は高いようです。 相続対策には、『税額対策』(=税金を少なくすること)のみならず 、『分割対策』(=各相続人にどのように財産を分けるか)、そして『納税資金対策』( =各相続人が無事に税金を支払いその財産を引き継ぐことができるのか)という 3 つの視点があり、特に、莫大な財産があるわけではない「普通の家庭」では、『分割対策』や『納税資金対策』がトラブルの種になることのほうが多いのですが、今日は、『税額対策』に絡む話をしたいと思います。   相続税は、相続財産が大きくなれば、段階的にその税率も上がる仕組みになっていますので、税額を減らす基本的手段は、相続財産そのものを減らすことです。 とは言っても、遺族に財産を残すことを考えているのであれば、無くなってしまっては元も子もありません。 遺産を減らしつつ、相続人に確実に財産を引き継ぐ最も基本的な方法は、生前贈与(生きているうちに財産を譲ってしまうこと)です。 生前贈与は、相続税よりも税率の高い贈与税の対象ですが、親族間の贈与には、いくつかの「特例」が設けられており、これを活用することによって大きく節税することが可能です。 今回はこの中から、 2021 年に期限を迎える「特例」 3 つを取り上げたいと思います。   住宅取得資金の贈与で最大 3,000 万円が非課税に ( 2021 年 12 月 31 日までに行われる贈与が対象) 『住宅取得資金贈与の特例』とは、祖父母や親などの直系尊属から、贈与を受けた年の 1 月 1 日において 20 歳以上の子や孫等が居住用家屋の新築や増改築のための資金の贈与を受ける場合、要件を満たせば、基礎控除額 110 万円に加え、最大 3,000 万円の控除が受けられるという制度です(下表のとおり、住宅の種類によって控除限度額が異なります)。 ※    本特例 については、これまで、期限を迎えるたびに制度の微修正を加えながら、事実上延長されてきました。高齢世帯にお金が偏っている現状を考えると、改めて延長される可能性はありますが、一応、来年末が期限になります。

コロナショックに乗じた”死神ビジネス”を許すな!

  新型コロナウイルス関連倒産が目立ち始めました。 『「コロナショック」は回避できるのか?』 でも述べたとおり、特に中小零細企業においては、自助努力で耐えることに限界が来ています。 その影響は広範囲に及んでいますが、中でも大きな影響を受けている業界としては、飲食店等の外食産業、ホテル・旅館等の宿泊関係、旅行代理業、アパレル業界の中でもファッション性の高い商品を扱う企業、運輸業、パチンコホールなどの遊技業をはじめとする娯楽・レジャー産業、そして医療関係があげられます。   今後も注意が必要な業界は… 飲食店等には、外食産業と呼ぶにふさわしい大資本のチェーン店もありますが、その多くは個人経営の小資本事業体です。資本基盤が脆弱で早い段階から倒産が散見されましたが、一方で家業経営店舗等では、家賃負担がないなど、その身軽さを武器に耐えてきたところも少なくありません。しかし、「居酒屋」などを含む“夜の街関連”事業者を中心に再び試練の時が訪れることが懸念されており、今後、倒産・廃業が多発する可能性があります。 ホテル・旅館等の宿泊関係や旅行代理業については、近年のインバウンド需要の増加を受けて売上げが拡大していた反面、新規参入者の急増による熾烈な価格競争のため、利益率はむしろ低下傾向にあり資本の蓄積は進んでいませんでした。もともと大きな初期投資が必要で、固定費の大きな産業ですから、“トップラインの激減”のインパクトは他業態の比ではありません。ファーストキャビンや WBF グループなど、新興勢力として業容を拡大してきた事業者の大型倒産はその象徴といえるでしょう。 感染拡大の鎮静化や「 Go to トラベル」などの支援策とともに同業界も落ち着きを取り戻すと思われていましたが、直近、ご存じのとおりの状況であり、感染拡大懸念の高まりから再び自粛機運が高まれば、経営が立ち行かなくなる企業が出てくる可能性は否めません。 これと並んで緊急事態宣言の発出当初から暗雲が立ち込めていたのがアパレル業界です。 普段着的な衣料品については、まだ落ち込みは限定的ですが、ファッション性の高い衣類は、不要・不急商品として大きな打撃を受けました。いわゆるブランド衣料については、近年では「(生産量の)半分売れれば御の字」といった状況にあるなど、華やかな表舞台とは対照的に、資金的

伸び悩む「投資人口」の実態が明らかに…

  金融庁による『 NISA 口座の利用状況調査( 2019 年 12 月末時点)』によると、 NISA 口座(一般 NISA 、およびつみたて NISA )の開設者は 1,092 万人余りで、対象人口の 10.4 %に過ぎません。しかも、両 NISA 合わせて、その 53.6 %が使われていません(残高ゼロ、かつ 2019 年中に一度も買い付けがない)。つまり、実質的な利用者は、対象人口の 4.8 %しかいないのです。 なお、取扱金融機関等へのヒアリングからは、 iDeCo の口座開設者は、 NISA 以上に少ないようです。ただ、こちらは DC との絡みもありますので、単純に口座数の多寡から投資姿勢を捉えることは難しい面もあります。会社員等で、勤務先が DC を導入している場合、『確定拠出年金』としてはそこで実施済みですから、さらに iDeCo に加入する必要はないという考えも成り立つからです。   さて、話を NISA に戻しますが、 NISA は、これに代わる非課税制度はありません。 DC や iDeCo もある中で、さらに『つみたて NISA 』は、自分の投資スタイルには合わないという人もいるでしょうが、一般 NISA なら、 120 万円以内の購入株式等による配当や売却益を非課税にできるだけのことで、何ら損になることはありません(“ワンショット”が 120 万円では収まらないような投資しかしていない人は別ですが…)。株式投資等を行っていながら、敢えて非課税枠を使わないという選択は稀でしょうから、 20 歳以上の 8 割を大きく超える人たちが、株式投資等自体を行っていないと考えるのが普通でしょう。   特に、昨今の若者は、お金の問題に対しての意識が高く、堅実と言われていますが、この NISA の利用状況からはそれが見えてこないことも、少し気になるところです。 一般論として、公的年金だけで老後の生活を成り立たせることが困難であることは、多くの人が認識していると思います。株式、投信等への投資は、絶対にやらなければならないものではありません。筆者も、投資に前向きになれないご相談者には、できるだけ投資をせずに済む方法をご提案させていただ

首都圏一極集中の解消なしに、日本経済の復活はない!

  帝国データバンクのレポートによると、 2019 年の首都圏への企業転出入状況は 66 社増と、 9 年連続の転入超過と、相変わらず首都圏の膨張は止まらない。 現在、日本には約 219 万社余りの企業があり、うち 90 万社( 41.10 %)が 1 都 3 県に所在する。上場企業に至っては 3,833 社中 2,278 社( 59.43 %)に及ぶ。それもあくまで登記基準であり、実質的に首都圏を軸に活動している企業はもっと多い。 また、 8 月 5 日、総務省が発表した人口動態調査によると、日本の人口は 50 万人減と過去最大の減少となったが、その中でも首都圏人口は 67 千人余りの増加(いずれも日本人住民)だ。人口総数では、首都圏人口は 3,675 万人、日本の総人口の約 30 %が集中している。   首都圏一極集中は「政治の不作為」で加速した もとをただせば、首都圏一極集中を生んだのは、「民間にできることは民間に」を合言葉に押し進められた『構造改革』だ。この考え方自体は正しいと思うが、国家としての役割を放棄してしまったために、民間の“暴走”を許してしまった格好だ。 端的に言ってしまえば、民間の行動、判断基準は、最終的にはどの会社も『利益』だ。したがって、その道筋はともかく、民間の行動は往々にして偏る。 首都圏一極集中は、この顕著な爪痕だ。 つまり、首都圏が大きな市場だとなれば、営利企業である民間企業は、こぞって首都圏に重点的に投資する。そしてこの投資の傾斜配分が、ますます首都圏にヒト、モノ、カネを引き寄せ、これによって首都圏はさらにその市場規模を拡大する。するとますます企業は首都圏に注目し、さらに投資を集中する。 この循環が、何もかもが東京に集まる、今の一極集中を生んだわけだ。 自社の成長が至上命題(増収増益が最上の成果)である民間企業は、安定的発展のためには、二極化、複眼化が望ましいということを理解しつつも、自社は“一番の市場”で商売がしたいのだ。民間企業にとって、対抗市場を育てるために、敢えて「最大市場に対する経営資源の投入を抑える」という選択が困難であることは、容易に察することができよう。 そもそも社会構造を見据えた対策は民間が考える課題ではなく、ここには政策的対応が必要だったのだが、特定企業群の成長によりマ