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投資商品としての不動産クラウドファンディングの価値 ーJ-REITとどう違う?どちらが有利?ー

  現在、ある不動産事業者から、不動産クラウドファンディングへの参入についてご相談を受け、その有効性について議論を重ねています。

 そんな折、個人投資家から、「不動産クラウドファンディングに挑戦してみたいが、どう思うか」とのお問い合わせをいただきました。…実に見事なタイミングです。

 こうしたご縁(!?)から、今回、不動産クラウドファンディングについて考察してみることにします。


不動産クラウドファンディングとは

不動産クラウドファンディングとは、『不動産特定共同事業法』の電子取引の認可を受けた事業者が提供するサービスで、不動産の運営事業者が、特定の不動産を取得するための資金をクラウドファンディング形式で調達し、当該不動産から生じた利益(賃料収入や売却代金)を投資家に還元する投資手法です。

サービスを提供する事業者にとっては、投資家から資金を募ることによりリスクを抑えた不動産投資ができるというメリットがあり、投資家には、少額、かつ期間限定で、しかも取得手続きや運用管理などの手間を一切負うことなく不動産に投資ができるというメリットがあります。

 

なぜ、いま、不動産クラウドファンディングが注目されるようになったのか

数年前まではマイナーな投資手段だった不動産クラウドファンディングが、今や、総体的には「品薄状態」(募集案件数に対し投資希望者が多い状態)となるほどの人気を集め、急速に拡大してきたのは、投資家、事業者それぞれの事情がかみ合ったことによります。

投資家側の事情としては、2018年以降、それまで高利回り投資商品として人気を集め、順調にその市場規模を拡大してきソーシャルレンディング業界において、業界大手事業者が不適切な勧誘を行っているとして行政処分を受ける事態が相次ぎ、業界への不信感が高まりました。その結果、高い期待利回りを求める個人投資家の関心が、投資対象に関する情報の透明性が比較的高い不動産クラウドファンディングに向かうことになったわけです。

一方、事業者側の事情としては、2018年、「詐欺的なスキーム」(被害弁護団弁護士談)でシェアハウス等の運営を行っていたスマートデイズの破産や、個人向け投資用不動産融資(アパートローン)を積極的に推進していたスルガ銀行の不正融資問題、東証一部上場の投資用不動産開発・販売業者TATERUの融資資料改ざん問題等の不祥事が立て続けに発覚し、投資用不動産に対する投資家の警戒心が高くなったことに加え、金融機関も簡単には融資を行わなくなったため、投資用不動産が、これまでのようには売れなくなってしまいました。そこで、“新たな販売先”として不動産クラウドファンディングに活路を見出そうとする不動産事業者が増えることになったわけです。

 

不動産特定共同事業契約の3類型

不動産クラウドファンディングは、匿名組合型、任意組合型、賃貸借型の3つに分類されます。ファンド選定の際に必要となりますので、それぞれの特徴を確認しておきましょう。

 

匿名組合型

現在の不動産クラウドファンディング市場における主流スキームで、投資家と事業者との間で「匿名組合契約」が締結されるタイプです。

簡単に言うと、投資家は、不動産の所有権や事業運営に関する権限を持たず、事業主体となる運営事業者に対して分配金を見返りとして資金を提供するだけの関係で、事業運営上の問題が生じても、出資額を超えて損失を負担することのない「有限責任」となる契約です。

なお、このような特徴から、分配金は不動産所得でなく雑所得となり、また出資持分は「金銭債権」と扱われるため、相続財産評価額の圧縮効果(後述)は見込めません。

分譲型の不動産開発等に用いられ、投資期間が36か月程度に設定されているファンドが多いので、「試しに挑戦してみたい」「少額・短期の投資を行いたい」人にお薦めです。

 

任意組合型

投資家と事業者が「任意組合契約」を締結するタイプで、投資家は、不動産の所有権を持つと同時に、法的には、共同事業者となることから運営にかかる権限が発生し、ファンドの運営に意見することもできます(実務的には、不動産特定共同事業者を業務執行者として選任し、業務を執行させるのが一般的)。しかしその一方で、対象不動産の所有者として「無限責任」を負いますから、例えば、対象不動産等に起因する損害賠償責任が生じた場合、その賠償金を支払う責任も生じることになります。

なお、投資家は、対象不動産の所有者であるため、分配金は不動産所得になり、不動産税制の活用や相続税評価時の資産圧縮効果も期待できます。

長期賃貸借を前提とする案件等に用いられ、「相続税対策として検討したい」「腰を据えた投資(長期で運用)を行いたい」人にお薦めです。

 


― 任意組合型による不動産投資の相続財産の圧縮効果 ―

路線価等を基準に算定される相続税評価額は、時価より低いことが多く、さらに当該不動産が賃貸物件である場合、貸家、貸家建付け地としての評価減を受けることができるため、その評価額は、同額の金融資産を保有している場合に比べ45割低い(※)こともあるなど、贈与・相続時における資産評価額の大きな圧縮効果が期待できます。

   評価額の圧縮効果は、個別の不動産により異なります。また、税制の変更等により変動する可能性もあります。

 

賃貸型

投資家が共同で取得(所有)した不動産を事業者に賃貸し、事業者がこれを運用(第三者への転貸等)するというスキームで、任意組合型や匿名組合型では、投資家と事業者との間で「組合契約」が締結されるのに対して、賃貸型では「賃貸借契約」、または「賃貸委託契約」を締結します。

なお、投資家は、対象不動産の所有者ですから分配金は不動産所得になり、不動産税制の活用や相続税評価時の資産圧縮効果も期待できます。

ただし、これまで、不動産クラウドファンディング・サービスにおいて、賃貸型の募集実績はありません。

 

ソーシャルレンディングとの相違点

ソーシャルレンディングとは、ネット上で、お金を借りたい人や企業と、貸したい人や企業を結びつける融資仲介サービスで、融資型クラウドファンディングとも呼ばれます。

そもそも不動産クラウドファンディングは、ソーシャルレンディングの派生形として生まれたものですから、基本的(技術的)な仕組みは似ていますが、出資金の資金使途やその返済原資が限定されている(ノンリコース型である)点に、大きな違いがあります。

ソーシャルレンディングでは、投資家は、借入希望者の事業計画や、プロジェクトの内容を見て投資等の判断をするわけですが、その使途を対象事業やプロジェクトに限定する術はなく、実質的には事業者への貸し付けとなります。…このため、「貸金業法」への抵触回避のため、長らく、融資先企業は非公表とされていました。2019年、金融庁より公表を可とする見解が示されました(=匿名化解除)が、非公表を継続しているファンドも散見されます。

これに対し、不動産クラウドファンディングでは、運営会社名はもちろん、物件概要・詳細が公表された不動産(実物資産)の取得という特定の目的に対して出資を行うことになり、対象不動産が生み出す利益のみがその返済原資となる点が異なります。(ただし、法的には、完全な分別管理ではないという課題はあります。)

 

J-REIT(上場REIT)と何が違う?どっちが有利?

投資家から募った資金で不動産を取得し、その賃貸収入や売却代金を投資家に分配する投資商品…、高い類似性を持つ不動産クラウドファンディングとJ-REITですが、以下のような商品特性上の違いから、投資商品としての「安全性」にも差があります。

 

≪投資対象不動産の「数」、「質」、「規模」の違い≫

J-REITの場合、ファンドは、複数の不動産を取得・運営し、かつその投資対象不動産は大規模(数億円規模以上)であることが多いと言えます。

これに対して、不動産クラウドファンディングの場合、「1ファンド1物件」が基本であり、投資対象不動産も、中古アパート一棟や区分所有マンションの一室など、小規模な物件であることが一般的です。

投資対象が限定されていることによる“わかり易さ”が特徴の不動産クラウドファンディングですが、投資対象不動産の「数」、「質」、「規模」の点では、J-REITに圧倒的な優位性があります。したがって、一般的には、良質な複数の物件に分散投資しているJ-REITのほうが、賃料収入が大きく減少してしまうリスクは小さいと言えるでしょう。

 

≪「投資期間」の有無≫

見込み通りの売却ができなかった場合、期限を定めた投資である不動産クラウドファンディングでは、たちまち元本償還に支障が生じます。

これに対して、もともと期限の定めがなく、対象不動産が限定されているわけでもないJ-REITでは、売却を急ぐ必要もなく、あるいは売却損を計上しつつも物件の入れ替えを行って運用を継続することも可能です。もちろん投資家は、取引価格の下落という形で損失を被る可能性が高まりますが、期限の定めのないJ-REITでは、回復を信じて継続保有するという選択も可能です。

投資期間が決まっていないことから、不測の事態に直面した際にも選択肢があるという点で、J-REITのほうが柔軟性があると言えるでしょう。

 

こうした違いから、巷では、「不動産への小口投資がしたいのならJ-REITに投資すればよく、不動産クラウドファンディングに投資する意味がわからない!」などという声も聞こえてきますが、果たしてこの声は、核心を突いたものなのでしょうか?

不動産クラウドファンディングに投資するメリット・デメリットという視点を基準にJ-REITとの比較を行ってみましょう。

 

不動産クラウドファンディングに出資する投資家のメリット

≪高い期待利回り≫

不動産クラウドファンディングの最大の魅力は、その期待利回りが高いことにあります。

概ね、年利換算で412%程度の想定(期待)利回りが提示されおり、同67%がボリュームゾーンと言えそうですが、この水準は、株式の平均配当利回り(1.7%前後)を大きく上回り、アパート経営などの実物不動産投資と比較しても遜色がありません。

J-REITの配当利回りは、16%程度、平均では4%程度ですから、利回りの点では、不動産クラウドファンディングに分があります。

 

≪少額・短期投資ができる≫

実物不動産投資では、物件購入費を筆頭に数千万円の投資資金が必要となることも多く、その回収までには20年前後の期間が必要となるのが通常で、不動産投資に興味はあっても、これらがネックとなり踏み出せない人も少なくないと思います。しかし、不動産クラウドファンディングなら、1万円程度の少額から、数か月の限定投資も可能です。

J-REITの場合、10万円以下で購入可能なファンドから70万円超のファンドまでバラつきはありますが、60本超の上場ファンドの平均価格は40万円ほどになり、少額と言っても、不動産クラウドファンドと比較すれば、まとまった資金が必要です。投資期間については、J-REITは、いつでも売買可能ですから、不動産クラウドファンディング同様、長期間にわたって縛られる心配はありません。

 

≪実物不動産投資と比較して、手間暇がかからない≫

不動産クラウドファンディングでは、実際の不動産取得や、入居者の募集、修繕やメンテナンスなどの運用管理はすべて運営事業者が行いますので、投資家には、一切の手間はかかりません。

この点は、J-REITも同様です。

 

≪情報透明性の高さ≫

不動産クラウドファンディングの場合、投資対象となる不動産の具体的な情報(立地や構造、築年数など)は募集サイトで公開されていますし、大半の事業者が、運用開始後の状況報告も積極的に行っています。

融資先の匿名化を筆頭に情報透明性の課題が指摘されているソーシャルレンディングと比較すると、不動産クラウドファンディングにおける情報の透明性は高いと言えますが、公開される情報の質、および量は、事業者次第である点は否めません。

この点、J-REITでは、上場投資信託として詳細な情報公開が義務付けられていますので、情報の透明性には一定の安心感があります。

 

≪優先劣後方式による投資家保護≫

多くの不動産クラウドファンディング・サービスで、投資家の優先出資元本を保護する「優先劣後方式」が採用されています。

具体的には、投資対象物件に対し運営事業者自身も一定割合の投資(劣後出資)を行い、仮に当該物件の売却に伴い損失が生じても、劣後出資額の範囲内の損失はすべて運営事業者が被り、投資家への元本償還を優先するという仕組みです。

例えば、1億円の不動産の取得にあたり、運営事業者による劣後出資割合が20%(=2千万円)であった場合、最終的に、当該物件が8千万円でしか売れず、2千万円の売却損が生じても、これを全額運営事業者が被り、売却代金の8千万円はすべて投資家への元本償還に充当されます(損失額が劣後出資割合を上回った場合には、超過損失分が投資家の出資額から差し引かれます(=元本毀損))。

損失が運営事業者の劣後出資額までで収まれば、投資家の出資元本が保護されるというこの仕組みは、投資家にとって、大きなメリットです。

一定の損失の補填を約束するといった意味合いを持つこのスキームは、投資信託の一種であるJ-REITでは、実現しえないものです。

 


≪値動きが無く、心理的負担が少ない≫

不動産クラウドファンディングによる「出資持分」は、それ自体を取引することを想定していないため、そもそも取引価格がありませんので値動きとは無縁です。

これに対してJ-REITは、株式などと同様、日々、値動きがありますので、これに一喜一憂することが心理的負担になる人もいるかもしれません。

 

≪クーリングオフによる解約が出来る≫

インターネットによる申し込みを基本とする不動産クラウドファンディングでは、そもそも「執拗な勧誘」は考え難いですが、『不動産特定共同事業法』の定めにより、投資家は、契約成立時書面の電子交付を受けた日から起算して8日間、書面提出による契約の解除(クーリングオフ)を行うことが認められています。

投資信託の一種であるJ-REITは、クーリングオフの対象外取引となります。

 

不動産クラウドファンディングに投資する、投資家側のデメリット

≪元本割れの可能性≫

運用期間中に想定通りの賃料収入が得られなかった場合や、売却価格が購入価格を下回ってしまった場合にはファンドに損失が生じ、この損失額が運営事業者による劣後出資額を超過すると、投資家の優先出資元本を毀損してしまうこととなります。

この点は、基本的にJ-REITも同じで、運営状況の悪化は取引価格の下落を招き、元本割れにつながる可能性があります。

これに加えてJ-REITには、上場しているがための価格変動リスクというものがあります。証券市場に存在する以上、金融環境はもちろん、株式、債券、為替を含めたマクロ視点での資金異動の波からも無縁ではいられません。例えば、J-REITは“ディフェンシブ銘柄”として位置づけられますから、事業運営状況とは無関係に、市場全体の「リスク・オフ」という流れの中で買い上がられることもあれば、その逆もあるなど、金融市場全体の流れの中で、価格が大きく変動し、購入価格を下回る(元本割れ)可能性もあります。

なお、不動産クラウドファンディングでは、J-REITや株式とは異なり、原則、投資家が想定を超える利益を得られることはありません。不動産という実物資産を背景に、着実に分配金を得ることを目的とする投資手法であることは肝に銘じておきましょう。

 

≪出資の中途解約ができない(=「流動性」が低い)≫

不動産クラウドファンディングでは、ファンド運営の安定性確保のため、ファンドの運用期間中の出資の中途解約は「不可」とされているのが一般的で、ファンドの運用期間中に出資持分を換金することはできません。

一部、出資の中途解約が認められているファンドや、出資持分のセカンダリ取引(投資家間の譲渡)機能が提供されているサービスもありますが、この場合の取引価格は「時価」となることが一般的であり、出資額の全額が返ってくるとは限りません。

不動産クラウドファンディングでは、少額・短期のファンドが多数存在しますので、換金不可を踏まえた適切な投資額や投資期間を検討して投資を行うことが大切です。

一方、J-REITは、証券市場を通じていつでも売買することができるため、購入価格を維持できる保証はありませんが、「換金できない」という心配はないと考えてよいでしょう。

 

≪ファンド運用期間の延長・早期償還リスク≫

いま、適切な期間を見据えた投資が必要と述べましたが、実は、不動産クラウドファンディングでは、意に反して投資期間が延長されてしまうことがあるということにも留意しておく必要があります。

不動産クラウドファンディングでは、出資者への元本償還原資は、対象不動産の売却代金ですから、対象不動産が売れなければ、事業者は投資家に元本償還を行うことができません(安く売ってしまえば、前述のとおり、投資家出資金に毀損が生じる可能性があります)。こうした場合、事業者は、(契約の定めに基づき)自身の判断によりファンドの運用期間を延長することがあります。

逆に、ファンドが取得した不動産の売却が早々に決まり、ファンドが早期償還されてしまうことに伴い、以降、想定していた分配金を受け取れないことも考えられます(実損は出ませんが、逸失利益が生じるリスクです)。

J-REITには、そもそも運用期限の設定がなく、元本償還も想定されていませんので、延長・早期償還という概念はありません。

 

≪税務上の優遇が無い≫

不動産クラウドファンディングにおける主流スキームである「匿名組合型」の分配金は、「雑所得」(総合課税の対象)に該当するため、株式投資のように「申告分離課税」を選択することはできません。したがって、給与所得等の大きい投資家の場合、不動産クラウドファンディングの分配金に対しても、高い税率が課せられてしまう可能性があります。

また、出資金の毀損(元本割れ)が生じても、「損益通算」や、相殺しきれなかった損失の「繰越控除」など、税制上の優遇措置はありません。(「優先劣後方式」が認められている“代償”と言えます。)

一方J-REITは、投資信託の一種とされているため、その分配金は配当所得となり、「申告分離課税」の選択も可能ですし、売却損が生じた場合には、他の株式等の譲渡益との「損益通算」や、「繰越控除」が認められているなど、税務面では、J-REITに大きなアドバンテージがあります(ただし、「配当控除」は受けられません)

なお、これまで確定申告をしたことがないという人も多いでしょうが、不動産クラウドファンディングによる分配金の額によっては、確定申告を行う必要が生じるケースがありますので、ご注意ください。

 

≪不動産クラウドファンディング事業者の経営破綻リスク≫

不動産クラウドファンディングによる投資を行う際に、最も注意すべきリスクと言ってもよいのが、この事業者リスクです。

万一、運用事業者が破綻等をした場合、不動産クラウドファンディングでは、特例事業スキーム(不動産を特別目的会社(SPC)に保有させるスキーム)を採用している一部のファンドを除き、(登記上の所有者は運用事業者である)投資対象不動産や、投資家による出資金が優先的に保全、弁済されることはありませんので、出資金の毀損は避けられません。

不動産クラウドファンディング事業者の中には、財務基盤が強固とは言えない企業もありますので、投資家としては、運営事業者の破綻リスクには、十分、注意する必要があります。

一方、J-REITの場合、投資対象不動産の所有者は、運用事業者ではなく、J-REITの母体となる投資法人であるため、当該不動産が運用事業者の破産財団に組み込まれることはありません。


まとめにかえて…

近年、不動産クラウドファンディングへの新規参入が相次ぎ、各社が投資家獲得に向け様々な知恵を絞ってきたこともあり、募集ファンドも多様化してきています。

運用期間についても、3ヶ月未満の不動産投資としては超短期のファンドもあれば、5年、10年といった長期にわたる安定運用を謳うファンドもありますし、賃貸運用という特性を活かし、「毎月分配」など、運用中の分配金の「定期分配」を謳うファンドも増えています。

また、マンションなどのレジデンス物件(居住用物件)が投資対象となることの多い不動産クラウドファンディングですが、昨今では、ホテルやオフィスなどの商業系物件を投資対象とするファンドや、介護施設や老人ホームなどの福祉施設を投資対象とするファンドなど、アセットクラスも多様になってきています。

本稿で述べたメリット・デメリットを十分に吟味し、またJ-REITとの比較を参考に、共感できる物件に限定した投資を行うこともできるのも、「1ファンド1物件」が主流である不動産クラウドファンディングならではの面白みと言えるかもしれません。

 


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